歌手・原田悠里さんはコロナ禍は「立ち止まって考えるいい機会」…毎日2万歩で人生観に変化
40年在籍した北島音楽事務所から独り立ち
コロナの3年間は大変でしたけど、私にとっては一歩立ち止まって考えるいい機会だったと思っています。
そして今年の春に40年以上在籍した北島事務所から独立して新たな歌手人生をスタートさせました。これまでは北島先生という大きな存在の中で苦労知らず、箱入り娘のようなものでした。コロナ禍の3年間も守っていただき、活動再開が見えてきた昨年、北島先生が「俺も86歳だから、元気なうちにおまえたちを出発させてあげたい」とみんなを集めて話がありました。
ご自身が元気なうちに、おまえたちを出発させてやりたいというお気持ち。私たちにとってはこれ以上の親心はありません。先生は紅白に幕を下ろし、舞台公演に幕を下ろし、何十年も続いた番組にも幕を下ろした。最後に弟子たちを独立させる……。先生のおかげで私も区切りをつけることができました。私自身もいつまでも親のすねをかじっているわけにはいきませんし、歩き出さなければいけない。
でも、どうやって歩いていこうか悩みました。独立第1弾がリリースしたばかりの「中山道」という曲です。
♪ 一歩また一歩 中山道は 道半ば~
力強く歯を食いしばって歩くというのではなく歩いて歩いて転機を迎えた今の私にぴったりな気がしました。なんだか今の私のために降ってきた曲かなって。
ひらめきましたね。本当に中山道を歩いてみようかしら。長い距離を歩く自信もある(笑)。中山道は536キロ。途中、かなり山の中を歩かなければならないし、時間もかかるけど、1年ぐらいかけて少しずつ歩けたらいいんじゃないか。
皇女和宮が江戸幕府へ下った時に通った姫街道にも行ってみたい。中山道は信州、木曽路を通るから「木曽路の女」との縁もある。私の原点であり、もう一つの故郷。そこでファンのみなさんに会いに行くことができたら最高ですね。 (聞き手=浦上優)
■1日リリースのニューシングル「中山道」(キングレコード)