著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

ついに完結! 笑って泣いた「義母と娘のブルース」はいつか復活して欲しい名シリーズ

公開日: 更新日:

 正月2日に「義母と娘のブルースFINAL 2024年謹賀新年スペシャル」(TBS系)が放送された。18年に連ドラとして登場し、20年と22年のスペシャルを経て、ついに完結である。

 主人公は、かつて業界トップの金属会社の部長だった亜希子(綾瀬はるか)。ライバル会社の良一(竹野内豊)と結婚し、8歳の娘の義母となった。

 病気で余命わずかだった良一と亜希子が到達した夫婦像は「二人三脚」ではなく「リレー」。娘というバトンを引き受けて走るリレーだった。このドラマは成長した娘・みゆき(上白石萌歌)が語る、「義母」と「家族」をめぐる物語だ。

 足かけ7年の放送だったが、亜希子のキャラクターが常に際立っていた。家でも外でもビジネスウーマンの姿勢を崩さない。奇妙なほど事務的で丁寧な話し方。何事にも戦略的に取り組むバイタリティー。それでいて、どこか抜けているから目が離せない。

 笑わせたり泣かせたりの展開を通じて、夫婦や親子について考えさせてくれた。

 脚本は「大奥」(NHK)などの森下佳子。今回も印象的な場面とセリフが並んだ。みゆきの結婚式で亜希子が言う。「13年間、あなたそのものが私の奇跡でした」。また、亜希子の健康を心配するみゆきは「子どもに死ぬ背中を見せるのは親のミッションだよ!」。

 いつか復活して欲しい名シリーズだった。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  2. 2

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  3. 3

    「おむすび」は朝ドラ歴代ワースト視聴率濃厚…NHKは橋本環奈で何を見誤ったのか?

  4. 4

    “レジェンドアナ”近藤サトが明かしたフジテレビアナウンス室の実態

  5. 5

    「相棒」芹沢刑事役の山中崇史さんが振り返る俳優人生…地下鉄サリン事件「忘れられない」

  1. 6

    5周年のSnow Man“目黒蓮独走”で一抹の不安…水面下のファン離れ&グループ内格差

  2. 7

    テレ朝の名物社員「ナスD」パワハラ&経費不適切使用→懲戒処分が示したテレビのヤバイ昭和体質

  3. 8

    巨人・田中将大の早期二軍落ちに現実味…DeNA二軍の「マー君攻略法」にさえなす術なし

  4. 9

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  5. 10

    兵庫県パワハラ知事は第三者委の「違法」指摘にも居直り反省ゼロ…維新・吉村代表に問われる「製造責任」