中学生だった山口百恵に「青い果実」を歌わせた…「昭和歌謡」はスゴかった! (後編)
令和のコンプラ基準でみたら、アウトばかりの昭和歌謡。今なら山口百恵というスターは誕生していなかったかもしれない。
昭和48(1973)年発売のシングル「青い果実」で、まだ中学生だった百恵はこう歌った。
♪あなたが望むなら~私何をされてもいいわ~
翌49年の「ひと夏の経験」では、
♪あなたに女の子の一番~大切な~ものをあげるわ~
だ。間違いなくやり玉に挙がる、という以前に世に出せないだろう。当時も物議を醸したが、今なら、そういう歌を中学生の少女に歌わせること自体が問題視されるに違いない。
百恵は当時、芸能記者たちに「女の子の一番大切なものって、何なの?」としつこく質問されていた。彼女は毅然として言い放った。
「真心です」
作詞した千家和也と酒井政利プロデューサーは、そんな百恵の強靱なメンタルを見抜いた上で「この子なら大丈夫」と確信して歌わせたのだ。年齢に関係なく、つくり手と歌手の間にはプロ同士の信頼関係があった。そしてそれを聴き手(小学生を含む)も理解していた。