性加害報道のサッカー伊東純也が、週刊新潮をスルーして女性だけを訴えたのはなぜか
その上、女性たちに2億円超の莫大な損害賠償を求めて「逆提訴」してきたのだ。しかし、彼女たちの告発を報じた週刊新潮は訴えないという。理由は、新潮を訴えて勝ったとしても取れる金額がわずかだからというのだ。
私にも経験があるが、こうした訴訟手法は女性たちを孤立させ、萎縮させて自分たちに有利に運ぼうというスラップ訴訟(言論抑圧訴訟)の一種で、品のいいやり方ではない。奥に引っ込んでろといわれた新潮は怒るべきだし、メディアとして彼女たちのいい分を報じた責任は自ら取るという立場をはっきりさせるべきである。
万が一、彼女たちの告発の裏を十分に取らずに掲載したとすれば、2009年に起こした「赤報隊実名手記」大誤報の二の舞いになり、今度こそ休刊に追い込まれるかもしれない。
この2つの性加害疑惑訴訟は、この国に「#MeToo運動」が広がるのかどうかの重要な岐路になると同時に、週刊誌メディアの正念場でもある。(文中敬称略)
(「週刊現代」「フライデー」元編集長・元木昌彦)