米アカデミー賞大本命 映画『オッペンハイマー』は「日本人こそ必見」の理由
「原爆の父」と呼ばれた物理学者の半生を描いた映画「オッペンハイマー」が29日、いよいよ日本公開となる。
同名のノンフィクションが原作で、伝記映画としては歴代1位となる1400億円もの世界興収をあげた大ヒット作。3月11日に発表される米アカデミー賞でも、13部門ノミネートされた本命の一角だが、日本での公開は遅れに遅れた。映画批評家の前田有一氏がこう語る。
「米国で公式アカウントが、原爆投下ネタにSNS上で好意的な反応をしたことで、被爆国である日本では“炎上案件”となり、配給会社さえなかなか決まりませんでした。決定後も、最も興収が見込まれる夏シーズンの公開はできず、結局3月公開に。しかし出来栄えはすこぶる良く、アカデミー賞直後のこの時期に公開を決めたことは、配給側の相当な自信の表れだと感じます」
1942年、米陸軍レズリー・グローブス(マット・デイモン)は、原爆開発の「マンハッタン計画」に、天才物理学者J・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)を招聘する。彼の働きでナチスドイツより早く原爆は完成し、人類初の核実験「トリニティ実験」を成功させるが、想像を超える破壊力を前に、やがてオッペンハイマーは罪悪感と恐怖にさいなまれてゆく。