「最後の喜劇役者」伊東四朗さんを“最後”にしないように私たちも頑張って喜劇の灯をともし続けたい
現在、新橋演舞場において熱海五郎一座「スマイルフォーエバー ~ちょいワル淑女と愛の魔法~」を上演中である。
早いもので演舞場に進出して、11年目。途中コロナで1回の休止があり、今回は伊東四朗さん、松下由樹さんをゲストに迎え、10回目の節目の興行だ。
三宅裕司、渡辺正行、小倉久寛、春風亭昇太、東MAX、深沢邦之、そしてラサール石井のおじさんたちで、いや、もうおじいさんたちで、開始当初はこんなに続くとは思っていなかった。何せ歌舞伎も行われる由緒ある劇場。そこに1回目は男性下着ショーのシーンで長い赤フンで花道を埋め尽くした。往年のファンには眉をひそめる人もいたが、今やすっかり認められ毎年5万人を動員する人気劇団だ。
そもそも始まりは伊東四朗一座だった。伊東さんと東京喜劇をやりたいと思う仲間が結集した。そこに呼ばれた私は狂喜乱舞した。何せ伊東四朗さんは、子供の頃から笑いを目指し喜劇役者を夢見ていた私にとって、憧れであり目標の、きらめく星のような存在だったからだ。
てんぷくトリオとして三波伸介、戸塚睦夫、伊東四朗の3人組で大人気。当時戸塚睦夫さんが肝臓を壊し入院。無事退院した復帰の生放送を、中学生の私は見ていた。伊東さんが戸塚さんを指して「この人肝臓を痛めてまして、レバー炒め」と言ったのだ。「この人はなんて面白いことを言うんだろう」と石井少年はぶっ飛んだ。それ以来、自分の夢はこの人みたいになることだと見定め生きてきた。