「最後の喜劇役者」伊東四朗さんを“最後”にしないように私たちも頑張って喜劇の灯をともし続けたい
先日公演中に伊東さんは87歳の誕生日を迎えられた。驚異の年齢だ。かつてこれほどの年で舞台に立つ喜劇役者を見たことがない。しかも、ちょいと賑やかしに出るのではない。主役でほぼ出ずっぱりなのだ。
もちろん出来るだけ伊東さんを動かさないように工夫している。そのための設定が魔法なのだ。伊東さんが杖を振るだけで、若者がとんぼを切ってやられるというギャグだ。途中2回ほど伊東さんが言いよどみ、三宅さんがフォローするギャグもあえて台本で入れた。
いや、確かに稽古場ではその歩きやセリフに少し不安にもなった。しかし、客前になったら驚いた。背筋が伸び、セリフのテンポが倍ぐらい速くなった。これが喜劇役者だ。
「最後の喜劇役者」──人は伊東四朗さんをそう呼ぶ。もちろん異論はない。だが、我々も伊東さんを最後にしないように頑張らなければならない。喜劇の灯をともし続け、どこまでも板の上に立ち続けていなければ。