「永野&くるまのひっかかりニーチェ」独自の着眼点と高い熱量で視聴者を魅了する理由
最終的に“陰キャは、この日が沈んだら二度と昇らないと考えてしゃべり続ける”ため、陰キャの時代を「沈まぬ太陽である」と哲学者・ニーチェのごとく結論付けた永野とくるま。親子ほど年齢が離れた2人は、抜群の相性で第1回を駆け抜けた。
彼らに共通するのは、テレビに馴染めなかった過去を持つことだ。永野は若手ならではの“尖り”が先行し、本心は「出たかった」にもかかわらず、「爆笑オンエアバトル」(NHK総合)に出演する芸人をディスっていた。
また、大手芸能事務所・ホリプロを辞めフリーに転向(その後、フラットファイヴを経てグレープカンパニーに所属)。部屋にひきこもるどん底の時代を経てライブシーンでカルト的な人気を博すようになり、40歳にして「ラッセン」ネタでブレークした。
一方のくるまは、“大学お笑い”で活躍し、NSC東京校を首席で卒業。しかし、デビュー間もなくは若手が出られるバラエティー番組が少なかったこともあり、どうアピールしてもチャンスを得られなかった。そのため、「M-1グランプリ」に注力するも程なくコロナ禍に。ライブ配信やYouTube動画が盛況を呈する中でM-1王者となっている。
「テレビに出たい」という思いを一度は断念し、外側からバラエティーを眺めてきた2人。だからこそ、彼ら独自の着眼点と高い熱量に説得力を感じ、魅了される視聴者が増えているのかもしれない。
(お笑い研究家・鈴木旭)