フジ・メディアHD「減収500億円」業績見通し下方修正の衝撃…取引先約1万社とばっちりで倒産・廃業も
大幅減収の下方修正である。
フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)は30日、定例取締役会を開催後、通期(2025年3月期)の業績見通しを発表した。
元タレントの中居正広の女性トラブルに端を発した「フジテレビ問題」で、CM出稿中止が80社前後にまで拡大。AC広告への差し替え分の料金はスポンサー側に請求しないため、フジの広告収入は従来予想から233億円減少し、赤字転落の見通しとなった。これを受け、フジHDも売上高が従来予想から501億円の減収となり、最終利益も192億円減の98億円へと落ち込む見通しだ。
もっとも、フジ・メディアHDは不動産事業などの多角化経営で総資産1兆円超。簡単には倒れない。だが、取引先や地方の系列テレビ局はそうは言ってられない。この事態がいつまで続くのか。とばっちりを受け、悲鳴を上げている。巨大メディアコングロマリットは、取引先のすそ野が驚くほど広かった。
東京商工リサーチの調べによれば、フジ・メディアHDのグループ企業の国内取引先は9654社に上る。広告代理店や芸能事務所などサービス業他が最も多く、次いでテレビ番組制作など卸売業や製造業、情報通信業など幅広い産業に広がっている。全体の9割以上が未上場。資本金1億円未満が7割以上と中小企業との取引が多い。
「予想以上に社数が多く、取引先は1万社近い。取引先の規模感は異なりますが、日産自動車の1万3000社に匹敵します。小規模事業者が多く、信用低下でフジの業績が悪化すれば取引先への影響は大きい。番組制作がなくなれば、制作会社や芸能プロダクションの経営を直撃する。ロケ用の弁当の仕出しなどさまざまな業種にも影響が及ぶでしょう。中小零細はコロナ禍でただでさえ経営が悪化していますから、そこへ最後の追い打ちをかけられ、廃業や資金繰り悪化による倒産が出る恐れがあります」(東京商工リサーチ情報部課長・後藤賢治氏)