ホテルは赤プリで 鼻の下に玉の汗かく姿が可愛らしかった
銀座のクラブ「姫」は、ママの山口洋子さんの作詞家としてのお仕事の関係で、猪俣公章先生はじめ、都倉俊一さん、平尾昌晃さんら日本の歌謡界の大御所がたくさん来店され、五木ひろしさんが店で歌っていたこともありました。そんな中、洋子ママの手掛けた歌手の方と出会いました。
ムード歌謡の美男子で、素人オーディションから洋子ママに見いだされ、彼の人生に沿った歌が大ヒット。歌手、スナック経営と彼が渡り歩いてきた水商売の世界観を美しく妖艶に表現した歌詞は秀逸でした。彼は雑誌の取材で店を背景に写真の撮影をするために訪れ、ホステス数人が呼ばれ、その中に私もいたのです。撮影が終わる頃、「電話番号教えて!」と言われ、自宅の番号を書いたメモを渡すと、数日後に電話がありました。
待ち合わせに現れた彼は、マスクに帽子で怪しすぎて逆にバレるのではと思うほどの過剰な変装。まあ、そのくらい人気があったのだから仕方がなかったのかもしれません。行きつけの喫茶店で一服すると、先にホテルに行き、喫茶店へ呼び出し電話をかけて、ホテルの号室を告げる。私は追っかけで部屋に。携帯電話がなかったから、当時は喫茶店でお客さんの呼び出しなんていうのもあったのです。ホテルは赤坂プリンスが多かったですね。数時間しか過ごしていませんが、当時1泊5万円くらいはしていました。