<4>夜中に知ったドン・ファンの死 早貴被告は消え入りそうな声で…
相撲の放送が終わってしばらくしてから私は店を後にして帰宅して、午後8時すぎには床についたのである。
ふと目が覚めたのは午前2時ごろだった。枕元に置いてある携帯電話の電源を切っていなかったことに気が付いた。電源を切らないと時間に関係なくドン・ファンからの電話が来る可能性があるので電源を切ろうとして携帯を見ると、着信があったことを示す青いランプが点滅していた。
午後11時ごろからの着信履歴がズラリと並んでいた。ドン・ファンが社長を務める酒類販売会社「アプリコ」の番頭のマコやん、そしてドン・ファン宅のお手伝いをしている大下さん(仮名)が20分ごとに何回も何回も、電話をかけてきたことが記録されていた。
これはただごとではない。私は大下さんへ電話をかけた。呼び出し音が少ししただけで彼女は出た。
「どうしたんですか? 何度も電話をいただきましたけど」
「社長がさ、死んだのよ」
「はぁ?」
寝ぼけていたのかもしれないが、事態をつかめない声は自分のモノではないような気がした。大下さんの声も乾いていて暗く沈んでいた。