<14>2人目の妻の「ベンツと共に去りぬ」事件…納車当日にそのまま走り去る
「どうですか、私の人生を書いてみませんかね?」
「社長の自叙伝ということですか?」
「ええ、そうですが」
「それは自費出版ということですか?」
「出せますかね?」
「お金がかかりますよ」
私はこのときドン・ファンの資産がいくらあるのか全く把握していなかった。まあ、町の小金持ち程度だと高をくくっていたのである。
「金なんて、ありますから。いくらぐらい必要ですかね? 1000万円程度までなら出せますから」
「そのぐらいはかからないと思いますけれど、調べておきますから」
それから半月ほど経って東京で再会した私は、自叙伝を書くことに同意した。
「半分書いたときに200万円、そして全部できて200万円で計400万円を支払います。それでよろしくお願いします」
社長は機嫌よく笑った。 =つづく