「成人喘息」の誤解 服薬をやめられる人は2割しかいない
■「治った」という誤解
問題点は、2つある。
まず、薬を継続的に使わない人が圧倒的に多いことだ。
「高血圧や糖尿病などの慢性疾患は、数値目標があり、『発症したら一生薬を飲まなくてはならない』という認識が浸透している。本来は喘息も高血圧や糖尿病と同じ慢性疾患なのですが、そう考えられていない」
喘息の場合、激しい発作や咳(せき)などで病院にかかる。薬で症状が鎮まると、ほとんどの患者が「治った」と思う。ここに落とし穴がある。
「薬で症状が鎮まっただけで、治ってはいません。そこで薬をやめれば、風邪や疲労などちょっとしたことをきっかけに、喘息発作を起こす可能性がある。喘息は、ごく軽症と咳喘息を除き、半永久的に治療を続けなくてはならない慢性疾患です。それを認識しなくてはならない」
ある調査では、「成人喘息患者で治療をやめられるのは2割、8割は治療の継続が必要」という結果が出ている。
薬を途中でやめてしまう人が多いのは、喘息治療で使われる「吸入ステロイド薬」に対して、誤解していることも挙げられる。