「心アミロイドーシス」早期発見して治療を始めるのが重要
心臓の筋肉に問題が起こることで心臓が広がりにくくなったり、逆に縮まりにくくなってポンプ機能が低下し、心不全を招く「心筋症」について、これまで何度かお話ししてきました。心不全が重症化すると、急に激しい動悸や不整脈に見舞われ、突然死を招くケースもある深刻な疾患です。心筋にトラブルが起こる原因は、ウイルス感染がきっかけになるケースが多いといわれていますが、はっきりしたメカニズムはまだわかっていません。近年、そうした原因のひとつとして研究されているのが「心アミロイドーシス」です。
アミロイドという異常蛋白が全身のさまざまな臓器に沈着し、それぞれ機能障害を起こす病気を「アミロイドーシス」と呼んでいて、それが心臓に起こった場合が心アミロイドーシスになります。
心臓にアミロイドが沈着すると、心室の壁が厚くなる心肥大を来して心臓が広がりにくくなり、病状が進むと今度は縮まりにくくなります。そうなると、ポンプ機能が著しく低下して全身に十分な血液を送り出せなくなり、重度の心不全が起こります。心原性脳梗塞の原因になる心房細動や心室細動などの致死性不整脈も起こしやすくなり、非常に予後が悪い疾患といえます。