最新の研究で「拡張障害型心不全」に新たな治療の可能性
近年、「拡張障害型心不全」という病気が注目されています。
われわれの心臓は休むことなく収縮を繰り返し、ポンプのように血液を全身に送り出して生命を維持しています。しかし、心臓が弱ってポンプ機能が低下すると全身の臓器に血液を十分に送ることができなくなり、息切れやむくみといった症状が表れます。これが「心不全」という病気で、そのままにしておくと、徐々に悪化して命を縮めてしまいます。
心不全には、心臓が縮まりにくくなる「収縮障害型心不全」と、広がりにくくなる「拡張障害型心不全」という2つのタイプがあり、超音波(エコー)検査機器の進歩によって、心不全の半数近くが拡張障害型であることがわかってきました。
拡張障害型はエコーで見たときに心臓がきちんと収縮しているため、これまで見逃されるケースも多かったのです。
心臓が広がりにくくなると、心臓の中に血液が入ってこなくなります。すると、血圧が高い状態が続いたり、不整脈を頻繁に起こすなど、心臓にちょっとした負担がかかっただけですぐに“お手上げ”になってしまいます。