著者のコラム一覧
尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

トイレで用を足したとたんに…「排尿失神」のメカニズム

公開日: 更新日:

 反射性失神は「副交感神経が過度に働いて起こる」といいましたが、これは「迷走神経反射が過剰に反応して起こる」と言い換えることができます。「迷走神経」とは、頚部・胸部内臓と腹部内臓の一部を支配する副交感神経のことです。

■原因は迷走神経の過剰な働き

 自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は血圧を上げたり、心拍を上げたりする働きがあります。副交感神経は逆に血圧を下げたり、心拍を下げたり、消化管の働きを活発にする働きがあります。通常は交感神経と副交感神経がバランスを保って心身の機能を調節しています。そして「迷走神経反射」は、交感神経の働きが高まった後に起こる、自律神経のバランスを保つ生命の防御反応です。

 これを排尿失神が起こるメカニズムで説明するとこうなります。

 ビールなどを大量に飲んで膀胱(ぼうこう)に尿が充満すると、反射的に血管収縮(交感神経が働く)が起こります。そして排尿をすると迷走神経反射(副交感神経が働く)によって血管が拡張します。

 ところが迷走神経反射が過剰に反応すると、血管の拡張が強過ぎて血圧が下がり過ぎて失神してしまうのです。

 反射性失神には有効な薬はありません。トイレで失神すると、便器で顔や頭部を強打する危険性がありますので、十分注意しましょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  2. 2

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  3. 3

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  4. 4

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  5. 5

    “年収2億円以下”マツコ・デラックスが大女優の事務所に電撃移籍? 事務所社長の“使い込み疑惑”にショック

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  3. 8

    日本にむしろ逆風…卓球王国中国で相次ぐトップ選手の世界ランキング離脱と進む世代交代

  4. 9

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  5. 10

    迷走するワークマン…プロ向けに回帰も業界では地位低下、業績回復には厳しい道のり