著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

日付が変わる前に眠りにつくと肥満を予防できる? 米国で論文が

公開日: 更新日:

 世界的に見ると、肥満の人は増加していることが知られています。現代社会を生きる人はまた、睡眠時間が短い傾向にあることも知られており、睡眠不足と肥満の関連性が指摘されてきました。

 しかし、肥満のリスクを高める就寝や起床のタイミングについて、詳しいことは分かっていませんでした。そんな中、睡眠状況と肥満の関連性を検討した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルの2021年6月号に掲載されました。

 この研究では26カ国に在住している13万6652人(女性59・8%、平均51・0歳、平均睡眠時間7・8時間)が解析対象となっています。研究参加者の就寝および起床の時刻、夜間の睡眠時間や昼寝の有無などが調査され、肥満(身長と体重で算出される体格指数BMIで30以上)や腹部肥満(腹囲が男性で102センチ以上、女性で88センチ以上)との関連性が検討されました。なお、研究結果に影響を与えうる年齢、性別、教育水準、喫煙・飲酒状況などの因子について、統計的に補正を行い解析されています。

 その結果、就寝時間が午後8時から10時の人と比較して、午前0時以降の人では肥満の割合が1・2倍、腹部肥満の割合も1・2倍、統計学的にも有意に高いことが示されました。特に午前2時から6時の間に就寝していた人では、肥満の割合が1・35倍、腹部肥満の割合が1・38倍と、最も高くなりました。一方で、起床時間と肥満に明確な関連性は認められませんでした。

 肥満は将来的な健康リスクと関連していることが複数の研究で示されています。肥満を予防するためには食事の内容や頻度、その摂取量に配慮することに加え、日付が変わる前に就寝し、夜間の睡眠時間を長く確保することが効果的かもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース