糖尿病の診断を受けてから10年後には50%が網膜症を患う
しかし、幸いにも視力を脅かす網膜症は、糖尿病の最初の3~5年ではまれです。別の統計では、糖尿病に10年以上罹患すると、その約50%に網膜症がみられ、20年以上では約80%に網膜症が合併するとされています
糖尿病性網膜症の視力喪失にはいくつかのメカニズムがあります。中心視力は、網膜の中心部分にむくみが起きて視力が急激に下がる黄斑浮腫または広範な毛細血管の閉塞によって損なわれます。高血糖が長期にわたり持続すると全身にさまざまな合併症が起こり、そのひとつが糖尿病性網膜症です。
慢性的に高血糖が持続すると、眼底にある網膜の細い毛細血管が障害を受けます。障害を受けた網膜の毛細血管には血栓ができて詰まったり、血管の一部が破れて出血したりして単純網膜症を起こします。
最初は、毛細血管が塞がれてしまうと眼底血管が拡張したり、蛇行したりする増殖前網膜症になります。不足した酸素を補うため、そこに新しい血管が発生します。新生血管は破れやすく出血を繰り返します。そうするうちに周囲に増殖膜と呼ばれる線維性の組織が生じて次の増殖網膜症に変わります。その増殖膜が網膜を引っ張り、網膜剥離を起こすと失明原因となるのです。