物忘れが治療で改善するかどうか 認知症と高齢者うつの見分け方

公開日: 更新日:

 うつ病の大半は、配偶者の死や投資の失敗など大きなきっかけがあります。患者さんは物忘れのほか、不眠や食欲低下など体の不調を訴えます。また、脳自体の機能が落ちているわけではないので、たとえば、人物名を忘れたとしても、家族が時間をかけてヒントを与えれば答えられます。お金をなくした場合も、落ち込んだり、自分が管理できなかったからだと自責の念に駆られるのが特徴です。

 対して認知症は、特にきっかけはありません。物忘れなどの記憶障害が起きてきますが、物忘れ自体を否定します。「今日は買い物に行く日だ」と伝えても、「知らない。聞いていない」という具合です。脳の機能が落ちているので、喜怒哀楽の感情も薄れ、物事に興味を示さなくなったり、お金がなくなれば「あいつに取られた」と怒り出します。他責思考になります。

 いずれにしても、病院で脳の血流を評価する検査「脳血流シンチ」を受ければ 画像診断ではっきりします。

 高齢の家族の様子が不安な場合は検討してもよいでしょう。

▽田中伸明(たなか・のぶあき) 1993年諏訪中央病院東洋医学センター医局長、95年阪神大震災医療ボランティア、98年厚生省国立医療・病院管理研究所特別研究員、2002年竹田綜合病院内科・神経内科、07年京都産業大学経営学部教授などを経て、12年にベスリクリニック創設、現在はベスリグループ総院長。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動