認知症で徘徊する人、しない人はどこに違いがあるのか?
認知症で徘徊(はいかい)の症状が出やすいのがアルツハイマー型です。逆に脳血管性認知症では、徘徊の症状は出にくいと考えられています。
アルツハイマー型認知症は特徴として「見当識障害」がみられます。これは現時点の時刻、日付、場所、人物がわからなくなって、最新の情報をアップデートできなくなることです。徘徊も「見当識障害」の一環とみられます。
一方、昔のことは正確に覚えています。そのため、その人にとって一番長い習慣が認知症後の行動に出やすくなります。定年まで数十年同じ職場に通っていたり、アウトドア派の男性に顕著です。とりわけ仕事一直線で、家と仕事の往復だったタイプは要注意です。認知症を発症してからも、「仕事に行かなきゃいけない」と出掛けなければという意識が先行してしまうのです。
徘徊する患者さんは無目的に出歩いているわけではありません。本人は仕事や買い物に出掛けたつもりでいます。ただし、目的はあるけど行き方を覚えていない。私のクリニックは東京・葛飾区の金町にありますが、ある患者さんは地元の金町から職場があった場所にたどり着けず、15キロ以上離れた草加市で見つかりました。