福井県「さばえ」のメガネは何が凄いのか? 海外有名ブランドも注目

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世界で初めてチタン製を開発

 優れている点は、それだけではない。メガネフレームの素材は大きくプラスチック製と金属に分かれる。このうち金属製はチタン製が大半を占める。これを1981年に世界で最初に開発・製品化したのは鯖江のメガネフレームだ。

「チタンは軽くて丈夫な半面、加工しにくい面があります。そのため、繊細なパーツを作るには高度なプレス技術と精度の高い型が欠かせません。チタン製メガネフレームが誕生したのは職人技が生きる鯖江だからこそなのです」

 そもそも一般的なプラスチック製メガネフレームは加工しやすいアセテートといわれる材料が使用される。しかし、鯖江では扱いの難しいセルロイドを使う職人が多い。

「アセテートはセルロイドに比べて軟らかく加工しやすいのですが、半面、皮脂や汗によって白くなり元には戻りません。しかし、セルロイドは硬いものの磨けば光沢が出て白くなった部分が消えます。また、アセテートは型崩れしないよう、メガネのつるの部分に金属を入れます。しかし、丈夫なセルロイドはその必要がない。そのため、セルロイドにこだわる職人も少なくないのです」

 こうした職人技術の集積が世界初のチタン製フレーム誕生につながった。

 福井県鯖江市周辺がメガネフレームの生産地になったきっかけは福井の豪農・増永五左衛門が農閑期の収入の道をつくろうと考えたから。当時は日清・日露戦争の戦況を知るため新聞が多く読まれ、メガネが必要とされた。

「メガネフレームに目を付けた増永は1905(明治38)年に大阪から職人を招いて工場を立ち上げ、技術向上を図るとともに人々を弟子入りさせました。そこで育った人材が新たな工場を立ち上げることで福井県産のメガネフレームが世界に飛躍したのです」

 近年、鯖江のメガネフレームが脚光を浴びているのは、高齢化が進み老眼に悩む人が増え、視線を動かすことで度数が変わり見え方が変化する累進レンズが普及してきたからだ。

「精巧な累進レンズの機能を十分発揮させるには少々のことではずれない鯖江のメガネフレームが適しているからです」

「さばえめがね館東京店」ではオーダーメードも扱っている。発注から完成まで2カ月ほどかかるが、自分で素材からデザインまで選べる。

 人生100年時代を乗り切る目の健康のためなのはもちろん、年齢にふさわしいメガネファッションのためにも鯖江のメガネフレームに注目してはどうか?

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