在宅勤務で目の疲れ蓄積…よい「見え方」保つポイント5つ
緊急事態宣言が解除されても、テレワークや外出自粛は続く。その影響で、目の疲れを訴える人が増えている。
ライオンが20~60代の男女計300人を対象に行った調査で、外出自粛生活で最も疲れや不調が増えたのは「目」という結果が出た。
64・7%が「目の疲れを感じている」と回答し、また目の疲れが増えた人は、そうでない人よりも2倍多く、ストレスを感じることが増えたと回答した。
一方で、目の疲れのケアを特にしていない人が6割を占めた。運動不足や体重管理などへのケア意識は高まっているのに対し、目の疲れに対するケア意識は2割弱と、低いことも分かった。
「在宅勤務でパソコンのモニターを見続ける時間が増えるのに加え、照明やモニターまでの距離が通常の仕事環境と異なることで、ドライアイ、そして眼精疲労が生じやすくなります」
こう指摘するのは、順天堂大学医学部付属静岡病院眼科先任准教授の土至田宏医師。
通常、まばたきは1分間に20回程度だが、モニターを見続けるとまばたきが4分の1、つまり1分間に5回程度に減少する。当然ながら目を開けている時間が長くなるので、目が乾燥しやすくなる。
「角膜は水晶体とともに光を網膜に集めるレンズの働きと、異物や細菌の侵入を阻害するバリアーの働きを担っています。目が乾燥し角膜を保護している涙の量が少なくなると、さまざまな症状が出てくるのです」(土至田医師=以下同)
ピントが合わない、目がかすむ、頭痛や肩凝りがひどくなるといった眼精疲労。さらにはドライアイがひどくなった状態である充血や目の乾き。目を開けていられない、目の痛みなどを伴う、といった場合もある。
「角膜はそもそも傷つきやすい部位。そのまま放置すると、角膜(黒目)や結膜(白目)に傷が付き、眼科への受診と治療が必要になることもあります」
土至田医師が、在宅勤務でも目の疲れを蓄積させず、よい「見え方」を保つポイントとして挙げるのは、次の5つだ。
【1】適切な照度と照明を保つ
「部屋を明るくし、モニターは明るくしすぎないようにします」
【2】モニターを楽に見えるためのメガネを
「老眼に限らず、若い人でも根を詰めてモニターを見ていると、眼精疲労が強まり、老眼と同じようにピント調節の機能が落ちてしまいます。見えにくさを感じたら、場合によっては、モニターが楽に見えるパワーに調整したメガネが必要です」
【3】パソコンの位置を変える
「パソコンは少し見下ろす位置に置き、モニターは目線の真正面にくるようにしてください」
【4】目を休める
「1時間パソコン作業をしたら、モニターから目を離し、窓の外を見たり1メートル以上遠くを見たり、目をしっかりとつぶって目を休めます」
【5】目のケアをする
3時間に1回を目安に、角膜修復機能のあるビタミンA入りの目薬をさし、1日の終わりにはホットアイマスクなどで目を温め、目の周辺の血流を良くする。
「市販の目薬で良くならなければ、ドライアイはタイプによって必要とされる目薬が異なるため、眼科で合った目薬を処方してもらってください」 ドライアイは目の問題だけにとどまらない。順天堂大学大学院眼科学の村上晶教授らが独自に開発したiPhone用アプリによる研究では、ドライアイの自覚症状が重症化するほど抑うつ症状が悪化したという結果が出ている。たかがドライアイ、ではない。