高齢者や終末期患者の抗がん剤の飲み方を考える 在宅医療の名医が解説

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■家族が判断すべき時もある

 特に気をつけたいのが病院の患者だ。在宅医療の患者は“ホーム”である自宅のリラックスした雰囲気の中で、薬による副作用や薬を替えた時の感想を「先生、効きすぎるよ」「薬を替えてから全然効果が悪くなったよ」などと気軽に口にできる。ところが、“アウェー”である病院の患者だと、薬による影響を伝えるだけの時間的な余裕がなかったり、薬を替えて悪くなったと医師に伝えるのが申し訳ないという気持ちが働いて、素直に伝えられなかったりする。

「本人が病院に行けなくなり、家族が薬だけを取りに行くようなケースも要注意です。医師に薬の感想を伝えられないため、不要な薬を長期的に飲まされかねません」

 代表的なのは、慢性心不全と診断され、利尿剤が投与された場合。体の余分な水分が排出できずに心臓に負担がかかる慢性心不全では、利尿剤は必要な薬だ。

 しかし、その後入院したり、在宅診療に移った場合は薬を見直す必要がある。

「水分制限がしっかりできる環境に移れば、利尿剤は決して長期投与される薬ではありません。むしろ、漫然と投薬を続けることの方が危険です。水分が体から抜けすぎて脱水症状を来したり、腎不全や脳梗塞心筋梗塞を引き起こすこともあります」

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