著者のコラム一覧
天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

トラブルを防ぐためにあらためて「薬の適切な処方」を見直したい

公開日: 更新日:

 医療は年々、進歩を遂げています。診断や治療機器は急速に進化していますし、よく効く薬も続々と開発されています。それに伴い、より質が高く、患者さんの負担が少ない治療が行われています。しかし、だからこそ「適切な医療」をもう一度見直すべきだと考えています。

 中でも強くそう感じるのは「薬の処方」についてです。近年、大きな問題とされているのが「多剤処方」と「長期処方」です。高齢化が進んで慢性疾患を抱える患者さんが増えたことで、複数の薬を大量に処方される患者さんが増えています。厚労省の調査でも、65~74歳の15%、75歳以上では26%が7つ以上の薬を処方されていることがわかっています。

 さらに、本来であれば担当医の診断の下、1カ月に1回ペースで処方されていたような薬を、いっぺんに3カ月分もらうといったケースも増えました。コロナ禍で受診を控える人が多くなったこともその傾向に拍車をかけています。

 多剤処方と長期処方が増えれば、それだけ薬の副作用による健康被害が生じるリスクがアップします。また無駄な薬が処方されるケースがあれば、無駄な医療費もかさみます。そうした懸念から、いまの保険診療では、医療機関が一度に7種類以上の内服薬を処方した場合、“ペナルティー”として処方料が減算されるようになりました。しかし、それでもお構いなしにたくさんの薬を処方する医師はいますし、いくつも薬を処方してもらいたがる患者さんは少なくありません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する