ワクチン接種 ヒトは午前中、マウスは夜間の方が効果が高い
【Q】ワクチン接種についての質問です。会社を休んでワクチンを打とうと思っていますが、午前と午後どちらが効果的なのでしょうか? そもそもワクチンは打つ時間帯によって効果は変わるのですか?
【A】新型コロナでもインフルエンザでも、ワクチンは私たちの体の中の免疫応答の仕組みを利用したものです。主な新型コロナワクチンはウイルスの表面にあるスパイクタンパク質の設計図であるメッセンジャーRNAを注射します。インフルエンザワクチンでは無毒化されたウイルスを注射します。その違いはありますが、免疫細胞であるT細胞と反応させて、再び同じウイルスが体内に侵入してきたときに速やかに対応させることで、発症や重症化を防ごうとするという意味では同じです。
この免疫応答には日内変動があり、それは交感神経がリンパ球を制御することによって生み出されることがわかっています。つまり、交感神経が高まり活動性が高まる時間帯に上昇し、低くなる時間帯に低下するのです。
実際、英国では276人の健康な65歳以上の半数には午前9~11時の間、残りを午後3~5時にインフルエンザワクチン接種をしてもらい、1カ月後に血液検査をして抗体価を調べたところ、午前中の方の抗体価が著しく高かったと報告されています。一方、日本国内のマウス実験では夜間にワクチン接種した方が強い免疫応答が起きて高いワクチン効果(最大4倍の抗体価)があることが報告されています。
(弘邦医院・林雅之院長)