健康管理に革命が起こる? カギはウエアラブル計測機器とAI
メディアには健康情報があふれていますが、その大半は、特定の栄養素や食材に関するもので占められています。あとはフィットネスぐらいでしょうか。また健康の指標としては、血圧、血糖値、体重(BMI)、体脂肪率、筋肉量などが使われています。筋肉量以外は数字を下げたほうがいいとされています。炭水化物を制限して血糖値や体重が減れば成功、といった具合です。
栄養素や運動に関する健康情報が多いのは、それらが調べやすいからに過ぎません。ヒトを使わなくても、マウスを使って実験できます。しかも他の条件を一定に保つことができるため、因果関係が“科学的”に実証できるわけです。
しかしそれで得られた知見が、複雑な社会生活を営む現代人に、そのまま当てはまる保証はありません。しかも個人差があります。フィットネスで筋肉がつく人がいる半面、腰や膝の関節を痛めてかえって動けなくなる人もいます。炭水化物を制限すると、血糖値が下がる人もいますが、元気がなくなったり怒りっぽくなる人も増えてきます。
一方、衣食住のうちの衣と住も、われわれの健康維持のために大きな役割を果たしています。ほかにも家族関係、仕事と通勤、睡眠、職場やご近所との人間関係なども、健康を大きく左右します。音やにおいだって、影響しているはずです。しかしそれらは科学的な実証が難しいため、あまり顧みられてこなかったのです。