便秘持ちは“健康に”長生きはできない…高血圧だと脳卒中やくも膜下出血のリスクが上昇
慢性便秘症の治療薬は、かつては2つのタイプしかなかった。腸に水分を集め便を軟らかくする酸化マグネシウムと、大腸に大蠕動を起こして排便を促す刺激性下剤だ。しかし12年以降、従来薬と作用機序が異なる新薬の登場や、既存薬の適応拡大が続き、この11年間で6種類の薬(アミティーザ、スインプロイク、リンゼス、モビコール、グーフィス、ラグノス=すべて商品名)が加わった。
■腎臓病、糖尿病、呼吸器疾患とも関連
便秘と関係している病気はいくつもある。大腸がんやパーキンソン病は、自覚症状のひとつが便秘だ。高血圧の人が便秘でトイレでいきむと、血圧が上昇し、脳卒中やくも膜下出血のリスクが高くなる。便秘が慢性腎臓病(CKD)の発症や進行と密接に関係しており、適切な便通管理がCKDの治療に必要であることも指摘されている。
「糖尿病で血糖コントロールが悪いと、肛門や直腸の機能が低下し、便秘になりやすい。便秘で呼吸器疾患が悪化することも観察研究でわかっています」
15年にわたる米国の生存調査では、慢性便秘がある人は、そうでない人と比べて生存率が低いとの結果が出ている。