尿路結石を「便秘」と誤診された60代男性の悲劇…6時間半も苦悶
尿の通り道に石が生じることを「尿路結石」という。その痛みは激烈で、「群発頭痛」「心筋梗塞」と並び3大激痛を引き起こす病気といわれる。しかしこの病気、一生のうち一度でも罹患する人数は男性15.1%、女性6.8%といわれ、決してまれではない。そのとき何が起きるのか? 最近、発症したという60代男性Aさんに話を聞いた。
いたたたたっ……。80代の父親の介護のため帰省中だったAさんの背部から右側腹部にかけて鋭い痛みが押し寄せてきたのは深夜1時半。数日前からガスが頻繁に出て腹部膨満があったAさんは当初、便秘だろうと思ったという。ところがトイレに行っても便は出ず、痛みは増すばかり。痛みで横になることもできない。
異変に気づいて起きてきた80代の老親は、ただオロオロするばかり。「救急車を呼ぼうか?」としきりに言うが、介護帰省中に老親に介護されて救急車に乗るのはさすがに恥ずかしい。苦悶すること6時間半、Aさんは夜明けを待ってタクシーで公立の総合病院の救急外来へ向かった。
事前に電話で聞くと当直医師は整形外科が専門だとのこと。一瞬、不安がよぎったAさんだったが、よもや誤診はあるまいと思ったというが、これが甘かった。この男性医師がレントゲンと超音波検査を行ったうえで下した診断は「便秘」。「右側腹部に便が詰まっている」と言う。Aさんは漢方薬と便を軟らかくする薬を処方され、痛みが取れないまま家に帰らされた。