血圧を下げるα1遮断薬とβ1遮断薬 きちんと副作用を知っておく
もうひとつβ1受容体というものがあり、これは主に心臓に存在しています。そこにカテコールアミンが作用すると、心臓の動きが強くなり、心拍数も増加します。こちらもやはり生命維持にとって必要なものです。「β1遮断薬」というクスリを使うと、カテコールアミンが心臓のβ1受容体に作用することができなくなるため、心臓の動きを少し弱くし、心拍数も低下させます。その結果、心臓の血液を押し出す力を弱めることができるため、降圧効果が得られます(実際はもっと複雑な作用ですが)。こちらは心臓に対する作用もあるため、特に高血圧でかつ狭心症や心筋梗塞後などで心臓をある程度休ませる必要がある症例に用いられます。一方で、心拍数が低下することから徐脈の副作用が出る場合があるため、そちらには注意が必要です。
β1遮断薬は、他にも振戦(ふるえ)に対しても用いられるケースがあるのですが、ここにも注意点があります。以前お話ししましたが、糖尿病のクスリを使っている場合には低血糖のリスクがあります。低血糖の症状の代表的なものが振戦です。そのため、糖尿病のクスリとβ1遮断薬を併用していると、低血糖の症状が隠されてしまい、低血糖が重篤になってしまう可能性があるのです。
メリットとデメリットを十分に理解して、うまくクスリと付き合っていきたいですね。