降圧剤「ARB」がACE阻害薬と併用されない理由 副作用が増強
前回は降圧薬のひとつである「アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬」についてお話ししました。今回は、その親戚のような薬剤「アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)」について取り上げます。
ACE阻害薬と同様に、ARBもレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)をターゲットにしているのですが、少し効き方が違います。やはり前回、アンジオテンシンⅡが強い血管収縮作用を持っているため血圧を上げるとお伝えしました。このアンジオテンシンⅡが血管を収縮させるときには、血管にあるアンジオテンシン受容体というところにひっつく必要があります。ARBはこの受容体に先回りしてひっつくことで、アンジオテンシンⅡが受容体にひっつけなくして血管が収縮するのを防ぐ、つまり血圧の上昇を防ぐ効果を示します。ACE阻害薬がアンジオテンシンⅡをできなくするクスリであるのに対し、ARBはできてしまったアンジオテンシンⅡが効果を発揮できなくするクスリということです。
ARBの降圧効果はACE阻害薬よりも強い傾向があるので、どちらかというとARBのほうが広く用いられています。なお、ARBの成分名には「○○サルタン」とつくので、降圧薬をジェネリックでもらっている方は、一度ご自身のクスリを確認してみてください。