認知症の人が睡眠障害を起こすとどんな問題が生じるのか
アルツハイマー型認知症の患者さんによく見られるのが睡眠障害です。認知症の4~6割の方に併発するとされ、軽度の場合では患者さんが自覚症状を訴えるケースが少なくありません。
睡眠障害を起こす原因として、加齢による睡眠の質の低下が考えられます。高齢になるにつれ深いノンレム睡眠が減って浅いレム睡眠が増えるので、中途覚醒しやすく睡眠時間は減りやすい。とりわけ問題なのが夜間不眠です。認知症の発症で外出の機会が減り在宅時間が増え、日中の昼寝の頻度が高まると夜眠れなくなります。そうなると、さまざまなトラブルが生じるリスクが高くなります。
私が診た患者さんに、夜眠れず活動的になり家族の睡眠中にベッドから立ち上がろうとして転倒した方がいました。家族に話を聞くと、日中の昼寝の時間が長いとのことだったので、日中は可能な限り起こして、仕事などで見守りができない日はデイサービスに通うよう伝えました。
高齢者は筋力低下によってバランスを崩しやすく、また認知機能の低下から空間認識能力も低下して転びやすい。さらに足腰が元気な方であれば、家の中だけでなく外に徘徊しに行く恐れもあります。