熱中症を防ぐにはまず「脳を冷やす」を意識する
■水分補給は「適量」が重要
水分の補給は、まず脳を冷やすことを意識してから考えましょう。最近、水分を摂取しすぎて自宅でトラブルを起こす高齢者が増えているといいます。夏は発汗量が多いので、通常であれば体内の水分が過剰になるケースはほとんどありません。しかし、エアコンでしっかり部屋の空気を冷やしていて発汗量がそれほど多くないのに、テレビから流れる「こまめに水分を取りましょう」といったアナウンスに従ってたくさん水を飲み、逆に体に悪影響が出ている人が増えている可能性があるのです。
たとえば、心臓が弱っている場合、過剰摂取によって水分が体内にたまると血液量が増えて心臓に負担がかかります。そのため、慢性心不全などで心機能が弱っている人では、水分の摂取制限が行われます。また、水分の過剰摂取は、体内のナトリウムやカリウムといった電解質を薄めてしまい、頭痛や吐き気が出たり、けいれん発作から意識を失ってしまうケースもあります。ただし、逆に水分が不足して脱水状態になると、これも心臓に悪影響が出てしまいます。ですから、水分は適切な量を意識して摂取しなければならないのです。