やせる糖尿病薬「SGLT2阻害薬」サルコペニアが心配な高齢患者に使って大丈夫?
血糖値が下がると、体は飢餓状態となりエネルギーバランスが崩れたと判断。不足したグルコースを補うために肝臓に蓄えられたグリコーゲンを分解してグルコースに戻し血糖値を維持する。
■体重当たりの筋肉量割合は増加するとの報告も
しかし、グリコーゲンの貯蔵も半日から1日で終了するため、異なる栄養素でエネルギーを作り出す回路を発動する。
そのひとつが中性脂肪の分解(脂肪酸のβ酸化)だ。それと並行して筋肉などのタンパク質が分解されてアミノ酸が放出され、肝臓でグルコースに変換される。これが糖新生だ。
つまり、SGLT2阻害薬で血糖値が低下すると中性脂肪の分解により脂肪が減少し、糖新生により筋肉が減少する。問題は、どの程度筋肉量が減り、質がどうなるか、だ。
体重が減少すると体重を支える下肢筋肉量が低下するのは必然だ。
ただし、SGLT2阻害薬による体重減少は脂肪の減少が大きいため、体重当たりの筋肉量はむしろ増加するとの研究もある。