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中西文行「ロータス投資研究所」代表

法政大学卒業後、岡三証券入社。システム開発部などを経て、岡三経済研究所チャーチスト、企業アナリスト業務に従事。岡三インターナショナル出向。東京大学先端技術研究所社会人聴講生、インド政府ITプロジェクト委員。SMBCフレンド証券投資情報部長を経て13年に独立。現在は「ロータス投資研究所」代表。

「2024年経済予測」一度値上げされた商品は元には戻らない…デフレとインフレが共存する

公開日: 更新日:

 あまり地方都市の景況を反映しない大手百貨店の売り上げは伸びている。三越伊勢丹ホールディングス(HD)など百貨店4社の11月の既存店売上高(速報)は、全社が前年同月比プラスだった。冬物衣料が伸び、宝飾品など高額商品が引き続き好調だった。

 伸び率は、三越伊勢丹HDが9.2%、J・フロントリテイリングが11.0%、高島屋が11.2%、そごう・西武が5.7%である。これらの百貨店は、首都圏など都市部の富裕層や外国人観光客の需要を捉えたからで、「地方と都市部の地域格差や貧富の格差」も示唆していよう。

 経済学では、資本主義の市場経済で商品価格(株価も)は、需要と供給で決まる。需要が供給よりも多ければ、価格は上がる。すなわち、物価は上昇するが、需要が供給よりも少なければ価格は下がる。しかし、7~9月期は需要不足でも原油高や円安など国内需給と無関係に物価高が起きており、政府の補正予算(需要創出)による給付金などが消費者に物価上昇を容認させる可能性もあろう。

 まして、企業は一度値上げした商品・サービスを値下げすることはまずない。とりわけ、経営学のイロハだが、寡占化された市場では、企業は価格を据え置き値上げをした他社との比較優位を確保し市場シェアの拡大を図るのではなく、大手に追随して値上げをするだろう。24年も「需給ギャップ」のデフレと「物価高」のインフレが共存するだろう。

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