不動産相続これだけはやっちゃダメ!「共有名義」はリスクの温床でしかない

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 50代、60代の人は親の不動産を相続する世代。しかし、兄弟姉妹で不動産を相続するといろいろとトラブルが起きやすい。そのリスクが「共有」にしてしまうことだ。

  ◇  ◇  ◇

「この問題に6年間関わってきた私の結論からいえば、不動産を相続したときに共有にしないことです。共有不動産にメリットはありません。仲のよい兄弟姉妹でもそれがいつまで続くかわからないし、相続が発生し、関係の薄い相続人が共有者になるかもしれない。共有はリスクの温床でしかありません」と、クランピーリアルエステートの大江剛代表は話す。

 同社は共有不動産を買い取ってその問題を解決することに特化するが、これまで6000件以上の相談を受けてきた。

 同社が行っている基本的な解決方法は共有不動産の買い取りである。対象は全国、種類は更地・一戸建てから1棟収益物件までさまざまだが、相談が多いのは普通の一戸建てだ。

「私たちが相談を受ける世代は50代、60代の兄弟姉妹が多い。ちょうど親が高齢で相続が発生する世代です。相続で得た現金は分けてしまうのでのちのちトラブルになるのは不動産になるんです。富裕層ではなく、他に分ける財産がない方のほうがトラブルになりやすい」(大江剛氏)

 不動産の所有は単独か共有になるわけだが、今年、同社が登記を調べた東京・世田谷区では相続不動産の4割が共有名義だったという。大阪・豊中市でも同様の数字だった。それほど各地での共有名義不動産は多いのである。

 共有不動産を巡るトラブルとはどのようなものか。典型的な事例は次のようなケースだ。

 父親が死去、兄弟2人が一戸建てと土地を相続。預貯金や株など金融資産は少なかったが、こちらは兄弟で分割して相続した。家には父の介護のために兄の家族が住んでいたため、不動産はとりあえず共有名義に。

 しかし数年後、弟はまとまった金が必要になる。そこで兄に不動産を買い取るか、売却して代金を分配するか、もしくは家賃分を払えと持ち掛けた。こうして時限爆弾のように遺産分割問題が再燃する。

 住んでいる兄は不動産を売りたくないが、弟の共有持ち分を買い取れるだけの金はない。両者は真っ向から対立してしまった。

「実際に住んでいない弟は不動産を売りたいもの。しかし共有者全員、この場合は兄弟の合意がないと共有不動産全部の売却や改築、担保権の設定など変更・処分行為ができません」

 司法書士資格も有し不動産登記実務にも詳しいみずほ中央法律事務所の三平聡史代表弁護士は共有不動産の処分の難しさについて、そう説明する。

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