著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

ダイドーリミテッド(下)旧村上Fグループは高値で売り抜けか?

公開日: 更新日:

 SC側の社外取締役の一人は、その後、自己都合で退任している。

 総会後、新会長に就いた山田政弘氏は、会見で「(株主提案の取締役は)必ずしもSCの意向を受けて活動するわけでないと聞いている」と牽制した。

 ダイドーの業績は厳しい。主力のアパレル事業が不振で、24年3月期の売上高は286億円で、11期連続の営業赤字を記録している。不動産事業の収益で最終利益を計上するヤリクリ決算が続いている。

 もともとは大同毛織という紡績会社だった。1964(昭和39)年の東京オリンピックで日本選手団が着用した赤いジャケットと純白のスラックス、スカートの生地を提供した名門だ。だが、紡績業が衰退し、紡績から撤退。主力工場のあった神奈川県の小田原工場の跡地でショッピングセンター、ダイナシティを運営、これが主力事業となった。SCは「ダイナシティの売却、不動産事業からの撤退」を求めている。

 さらに、旧村上ファンド系の南青山不動産と、村上氏の長女・野村絢氏と合わせて5.14%を保有する大株主として登場し、攻勢の手を緩めない。ダイドーの新経営陣に改めて株主還元を求めた。

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