スピースのマスターズV支えた専属キャディーの“異色経歴”
「私たちは兄弟のようだ」とスピースが語るのは、専属キャディーのマイケル・グレラー(37)のことだ。
ゴルフ好きのスクラッチプレーヤーだったグレラーは小学校で算数と科学を教える教員。ボランティアで試合に出場する選手のキャディーバッグを担いでいた。地元開催の2011年全米ジュニアアマではバッグを担ぐ選手が棄権。代わりにバッグを担ぐ選手を探していたのを知ったスピースが、グレラーに電話したのが2人の関係の始まり。この大会が2人の初優勝だった。
その後も「スピースを助ける」と12年全米オープンでも休暇をとってローアマに貢献。スピースがプロ転向を決めると、教職を辞めて専属キャディーになる決心をしたのだ。無名時代からの付き合いで、気心も通じており、算数、科学の先生だけに考え方も論理的で、しっかりしている。スピースの21歳とは思えない落ち着きあるプレーは、グレラーの力ともいえる。
米ツアーでは昔から名選手には名キャディーありといわれる。スピース・グレラーコンビはこれからも勝ち続けるに違いない。
(ゴルフライター・吉川英三郎)