陸上・新宅雅也氏「出場していたらメダル取れていたかも」
新宅雅也(陸上・3000メートル障害、5000メートル2種目代表)
「国が決めたことには従う。ボイコットが決まっても悪あがきはするな」
中村清監督は常々こう言っていましたから、覚悟はできていました。
■一報は中村監督の自宅で
所属していたエスビー(SB)食品の練習場は都内にある神宮外苑のロードか代々木公園の陸上競技場がメイン。練習の前と後は必ず監督の自宅(千駄ケ谷)で話を聞くのが日課です。
その日、私は神宮外苑を走り、監督の家に向かいました。瀬古(利彦)君は代々木公園で25キロ走が終わった後、私より早く監督からボイコットが決まったことを伝えられたそうです。そこには「報道陣が30人ぐらいいたよ」とも言ってました。
「正式にボイコットが決まったぞ」
そうなるだろうなとは思いつつも、実際に監督の口からそれを聞かされ、現実を突き付けられるとやっぱりショックでした。
瀬古君は前年の福岡国際の優勝でマラソンのモスクワ五輪代表に内定していましたが、私と日体大からSB食品に入った中村(孝生=5000メートル代表)君の2人はこの時点ではまだ代表ではありません。