「凄母」佐藤 留美氏

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「企業側には、女性を“使ってやっている”という福利厚生のような感覚があるのかもしれませんね。でも企業が良かれと思って行う“配慮”によって、女性はいつまでも一人前扱いされない“二級市民化”し、彼女たちのモチベーションは奪われていきます。本書に登場する『凄母』は、企業の戦力となっている人ばかり。そのサバイバル例は、家族の介護問題などで今後、従来の働き方が難しくなる男性にも参考になるはずです」

 生涯賃金が頭打ちになるなか、共働き家庭も増え、男性の育休や介護休職など、企業もさまざまな対応を求められることが多い。母たちは下駄を履かせてほしいと思っているのではなく、出した成果に対する正当な評価を求めている、と著者は訴える。

「女自身がキャリア優先の“バリキャリ派”と、家庭第一の“ゆるキャリ派”に分かれて対立する構図があるのは不幸なことです。本当は、どちらかしか選べないのではなく、双方を行き来できる働き方が、それこそ男女問わず必要なのだと思います」
(東洋経済新報社 1400円)


◇さとう・るみ 1973年生まれ。青山学院大学卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、企画編集会社「ブックシェルフ」を設立。「週刊東洋経済」などの雑誌に人事、労働、キャリア関係の記事を多数執筆。東洋経済オンラインに「ワーキングマザー・サバイバル」を連載。著書に、「結婚難民」「なぜ、勉強しても出世できないのか?」がある。

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