グルメ文庫本特集
「ランチ探偵 容疑者のレシピ」水生大海著
住宅メーカー大仏ホーム経理部で働く天野ゆいかと阿久津麗子は、ランチという日常の時間内に鋭い推理力を発揮する人呼んでランチ探偵。「すべての構図が見えました」というセリフと共に、ここぞという場で鋭い推理力を発揮するゆいかと、美人で肉食系恋愛ハンターの麗子のコンビで、おいしいランチを食べつつ、合コン相手が持ち込んだ不思議な話の謎を解く。
シリーズ第2弾の本書は、呪われた社宅に悩む男性や、都市に発生した密室の容疑者、ペット犯罪などが登場。
今回は、推理役のゆいかが人事異動で不在となり、スマホで麗子が送信した情報をもとに、その場にいないゆいかが伝言だけで謎解きをするという話も挿入され、安楽椅子探偵物の本格推理小説としての面白さに拍車がかかった。
ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作を受賞してデビューした著者が、物語の細部にさりげなく張り巡らせた伏線にどこまで気づけるか、ぜひ挑戦してみよう。(実業之日本社 593円+税)