テレビの生放送から火がついたユリ・ゲラー現象
<1974年3月>
70年代から80年代にかけて起こった超能力ブーム。きっかけはイスラエル生まれの青年ユリ・ゲラーがテレビの生放送で、視聴者の家にある止まっている時計を動かすというパフォーマンスを行い、多くの時計が動いたことからだった。
3月7日19時半、日本テレビの番組「木曜スペシャル」が始まった。この日の特集は「超能力者ユリ・ゲラー」。ゲラー(当時27)はこの年の2月に初来日、25日放送の「11PM」に出演して番組中にスプーン曲げを披露し、評判になった。
19時半から始まった前半はゲラーが滞在中に収録した録画の放映。封筒に入れた紙に書かれた図形を透視したり、スプーンをさするだけで真っ二つに切断したり。視聴者は、これは本当の超能力か、それとも手品かといぶかりながら、そのワザに引きつけられていった。
20時半。録画が生放送に切り替わる。この日の番組では、「今夜8時35分、日本をアッといわせる奇跡が起こる」と大掛かりな宣伝が行われていた。その時間にゲラーがカナダからテレパシーを飛ばすというのだ。