テレビの生放送から火がついたユリ・ゲラー現象
司会の三木鮎郎は「壊れた時計やスプーンをテレビの前に持ってくるように」と視聴者に呼びかける。三木は自宅から古時計を、アシスタントの児島美ゆきはスプーンをスタジオに用意した。
スタジオに設置されていた16台の電話の呼び出し音がけたたましく鳴り響く。「時計が動いた」という電話が、じゃんじゃんかかってくる。中には「傘の骨が曲がってしまった」「子供の風邪が治った」「むち打ち症が治った」などというものもあった。電話の嵐は翌朝まで続き、管轄の九段電話局の電話交換機のヒューズが飛んでしまうほどだった。
三木の古時計も動いたが、児島のスプーンは曲がらなかった。視聴者からの電話でもスプーンやフォークが曲がったというのは少なかった。大反響に見えた電話の嵐だっだが、何も起こらなかったという抗議の電話も相当、含まれていた。
これらのことからトリック説がわき上がる。時計メーカーはブラウン管に近づけると、テレビの磁力で時計の針が動くことがあると週刊誌にコメントを寄せた。
また、壊れた機械に衝撃や振動を与えると直るのはよくあること、しまっていた時計を動かしたことで直ったのではないか……。それがたとえ数百分の1の確率でも数千万の視聴者がいれば、かなりの数の時計が動いても当たり前と指摘する識者もいて、賛否両論の大論争を呼んだ。