「私はこれで会社を辞めました」…禁煙パイポCMのあの人は今
星の数ほど流されるテレビCM。大半が見た直後に忘れてしまうシロモノだが、中にはいつまでも記憶に残るCMもある。84年から放映されたアルマン(現・マルマン)の禁煙パイポのCMもそうした一本だ。見るからにマジメそうな中年男性が小指を立て、「私はこれで会社を辞めました……」とやった。このインパクトは強烈で、「アイツは誰だ?」と大いに話題になった。その主は手塚和重さん(73)。近況は――?
「禁煙パイポのCMには3人の中年男が出てたでしょう。向かって左端の方はCM放映から数年して亡くなり、真ん中の方はどこでどうされてるかわかりません。そこで私がいつも1人で取材を受けております。きょうは、はるばる埼玉のある町から出かけてきました」
日焼けした肌に赤、黄、白の派手なアロハが似合っている手塚さん、まずはこう言った。会ったのはJR秋葉原駅から3分のマルマン本社。
「地方公務員を60歳で定年退職後、8年前から地元のシルバー人材センターで庭師をやっております。公務員といっても事務仕事じゃなく、公園や霊園で樹木の管理をやってたんで、現役時代の知識や技術を生かせる庭師になりました。庭師ってのは仕事のときは黒ずくめ。だから、仕事以外では色味があるものを着たくなるんですなあ」