「料理バンザイ!」の滝田栄さん 精神修行と仏像制作の日々
83年、NHKの大河ドラマ「徳川家康」で主役の家康を演じ、その後もドラマ、舞台、映画と幅広く活躍してきた滝田栄さん(63)。「料理バンザイ!」(テレビ朝日系)の司会を20年間務め、帝劇の舞台「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン役を87年の初演から14年間演じた。しかし、最近は姿を見ない。今どうしているのか。
「ただただ役にのめり込んで演じ続けたジャン・バルジャン役を若い人に譲って欲しいといわれたのが50歳のとき。自分としてはすべてやり切ったという思いがしましてね。では、次に何をやるかと考え、つねづね勉強していた仏教、つまり“仏陀”に取り組もうと決めたんです。で、自分にとっての『レ・ミゼラブル』の最終公演に続き、『料理バンザイ!』の収録も終わった02年の2月、単身インドに渡り、結局、2年間、南インドのジャングルで座禅をして過ごすことになりました」
ひとりでインドのジャングルに2年間!!
「サソリやコブラが普通にいましたよ、ハハハ。聖者と呼ばれる人物を訪ねて教えを請うんですが、聖者は“座禅は1日1分でもいい”とおっしゃる。裏を返せば、一生座っていなさいってことなんですね。食べ物は野菜とフルーツだけ。嘘はつかない、肉は食べない、よこしまなセックスはしない……などの戒律を守りながら、座り続けて自分自身を見つめていたら、苦労することなく2年経っていたという感じでしょうか。時々、料理に使う味噌と醤油を届けにきてくれた女房に“忘れられちゃうわよ”とハッパをかけられ、欲望にまみれた日本社会で座禅することが究極の修行だと思い、日本に帰ってきました」