映画「ゴジラ」7本で“中の人”を…俳優・薩摩剣八郎さんは今
ここでもひと悶着が。
「竹刀を振り上げ、打ち込むために走り出す前、大声を発するんだ。当然、ご近所の方は何事かと怪しむ。この前なんか長い警棒を持った警官が3人、職務質問に来た。事情を説明するのに苦労したよ」
薩摩さんで思い出すのが85年、金日成に招かれて北朝鮮に特殊撮影の技術指導に行ったことだ。「プルガサリ」という高麗王朝末期に題材を取った、時代劇と怪獣映画をミックスしたような作品だった。
「約2カ月滞在し、技術指導といいながら、オレはプルガサリの中に入って怪獣を演じた。プルガサリは民衆の味方なんだけど、炎の中で暴れるシーンでは煙が着ぐるみの中まで入ってきて、生きた心地がしなかったよ。そんなオレを現地のスタッフは大丈夫ですか、ケガはないですか、とまるで肉親に接するかのように気を使ってくれるのさ」
ちなみに作品完成後、申相玉監督が86年、ウィーンのアメリカ大使館に亡命したため、13年もの間、埋もれていたが、98年、キネカ大森で封切られ、大ヒットした。
「鉄を食べて巨大化するってユニークな発想のプルガサリはホント、面白い。また仕事したいね」
調布市内で夫人と2人暮らし。1男1女。孫が3人いる。