歌手・加藤登紀子が振り返る 宮崎駿監督と「紅の豚」秘話
来年、歌手デビュー50周年を迎える歌手の加藤登紀子さん(70)。長い経歴の中で、今の子供にも広く知られるようになったきっかけは主題歌とエンディング曲、そしてマドンナ役の声優を務めた宮崎駿アニメ「紅の豚」。名作の誉れ高い本作で、宮崎監督(73)から得たものとは……。
■「紅の豚」が音楽の原点を見直すきっかけに
早いもので、「紅の豚」の公開からもう22年になるんですね。
あの作品で宮崎監督と初めてお仕事させていただいたのですが、思い出がたくさんあり過ぎて、どれから話したらいいのか迷うほどです。
ただ、主題歌の「さくらんぼの実る頃」、エンディング曲の「時には昔の話を」を歌ったことが、私の音楽の原点であるシャンソンを改めて見直す、いい機会になりました。そして、安心して身をゆだねられる場所はどこかを教えてもらったのではないかと思います。
91年の夏ごろだったでしょうか。表参道にあったライブレストラン「テアトロスンガリー青山」で、「さくらんぼの実る頃」の録音と、アニメを描く参考にするための実写収録をしたのが、宮崎さんとの初対面でした。