俳優・加藤健一さんは“静かな酒”が好き 「芝居の話は抜きで」
■最近は飲まない俳優も増えた
昔の演劇人って、飲んだら演劇論を戦わせたり、殴り合いのケンカをしたり、若い役者に説教を始めたりといったイメージがある。でも、僕はそういうのはダメなんですよ。お酒を飲むなら芝居を抜きにして静かに飲む。だから、新宿の飲み屋街なんかでは、演劇人の修羅場と遭遇しそうな店は避けて飲んでました。
今はビール1本と日本酒2合が適量。40~50代は量も多かったし、途中で記憶がなくなることもありました。最近はさすがに記憶がなくなるラインがわかってきたので、それを越えないようにしています。
旅公演のときはなんといっても地元のお酒が楽しみですね。ただ、不思議なもので、旅先で飲んでおいしいと思ったお酒と同じ銘柄を東京で飲んでも「こんな味だったかなあ」と思うことがしばしばあります。旅先だからおいしいということもあるんでしょうか。
昔は旅公演だとみんな大部屋で一緒だったから、すぐに飲み会が始まったものですが、今はすべて個室だからそんな楽しみもなくなりましたね。飲まない人も増えたし。稽古が終わったら早く帰って、個々人の趣味を楽しむという傾向もあるようです。気を使わないから楽といえば楽なんですが、ちょっぴり寂しい気もしますね。