岩崎宏美さんに60曲 故・阿久悠氏が詞に込めた“女ごころ”
「間違いをジンクスにしちゃダメだよ」
こう諭されたのは日本テレビさん制作のオーディション番組「スター誕生!」の収録中でした。この番組で最優秀賞をいただいたのがデビューのきっかけで、デビュー後は新人コーナーで歌わせていただいたんですね。
ところが、「ロマンス」が大ヒットして、コンサートや他の音楽番組への出演や取材に追われるあまり、3カ月に1度の新曲レコーディングの直後で歌いこなせていないまま、「スター誕生!」への出演が続いた時期がありました。
そのため、番組収録の際にNGを連発。阿久先生は番組の審査員で収録会場に来ていらっしゃったので、見かねたんでしょう。
「どうせ間違えるだろう」「間違ってもしょうがない」……。そんな安易な気持ちで収録に臨んじゃいけないよということですね。
■「なぜいつも私の気持ちをご存じなのか」
また、先生から詞をいただいて、いつも不思議に思ったのは「なぜ私の気持ちをご存じなんだろう」ということでした。どの作品もドキドキすることばかり。中でも1977年9月発売で11枚目のシングル「思秋期」の2番「卒業式の前の日に……」という歌詞には泣かせられました。半年前に堀越高校を卒業した時の情景が蘇って、つい涙があふれて歌えなくなり、レコーディングに5日もかかったほど。