沢田亜矢子さんが振り返る恩人・森光子さんとの“師弟関係”
女優、タレントとして幅広く活躍中の沢田亜矢子さん(66)。芸能界にデビューして42年目。新人の頃に目をかけ、女優への道を照らしてくれたのが3年前に亡くなった大御所、森光子さんだ。
「いいんじゃない」
今でも、あの独特なキーの高い優しいお声は忘れられませんね。あれは1973年の夏。TBSの人気ドラマ「時間ですよ」(第3シリーズ)の撮影スタジオ。声の主は森光子さんです。
森さんは「時間ですよ」の主役で、9月5日に終了した直後の6日から、NET(現・テレビ朝日)で放映が始まる連続ドラマ「じゃがいも」でも主演が決まっていた。このドラマで私は、森さんの娘役をさせていただくことになっていたんです。
私はその年の5月に、「アザミの花」という曲で歌手デビューしたばかり。女優経験ゼロの素人でしたから、その日はご挨拶といいますか、面接の意味もあったんです。
同行してくださったのは「じゃがいも」の木村幹プロデューサーでした。木村さんは、私が高輪プリンスホテルのラウンジで弾き語りのアルバイトをしていた際にお声掛けいただき、担当されていた深夜バラエティー「23時ショー」のエンディング曲のピアニストに抜擢してくださいました。それが念願の歌手デビューが決まったきっかけのひとつでしたから、いわば生みの親的な恩人なんです。