<上>僕は随分長い間、2番手、3番手の俳優でした。でも…

公開日: 更新日:

 当時は電車に乗ると、周囲の人に避けられるなんてことはしょっちゅうありました。橋爪功っていう名前は知らないけれど、ドラマで見るちょっとだけ嫌な役のアイツだって。そういう自分に対する世間のイメージが何とも心地良かった。まさに「俺の人生極まれり」って感じでしたね。大阪人なので、自分を貶めたり笑いものにしたりすることが苦にならない。ふてぶてしいというか、野放図というのか。照れ隠しだろうって思ってくださる方もいますが、女房に言わせると「あなたはもともとデリカシーのない人」。まあ、へそ曲がりなんでしょう(苦笑い)。

 小人閑居して不善をなす、なんていいますが、人間は暇だったり一人きりでいたらロクでもないことをしでかすもの。それでも誰もが、大なり小なり自問自答するような苦しみを抱えていますよね。そこから逃げ出すのにフィクションは有効なんです。僕はたまたま役者という商売を選びましたが、趣味でもなんでもいいですよ。こんなひねくれ者が生き延びれてこられたのは、フィクションの世界に身を置けたからというのが一番大きいように思いますね。
(つづく)

▽はしづめ・いさお 1941年、大阪府出身。文学座、劇団雲を経て、75年に演劇集団円の設立に参加。以降、舞台・映画・テレビ等幅広い分野で活動。今週27日から主演作「家族はつらいよ2」(山田洋次監督、松竹系)が公開となる。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出